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第1回国際シンポジウムPCF2024を開催しました。
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第1回国際シンポジウムPCF2024を開催しました。
2024年10月28日
〜2024年10月31日
岐阜県岐阜市
須藤 健悟
岐阜県長良国際会議場にて「植物フェノロジーとBVOCによる気候フィードバックに関する国際シンポジウム」を開催しました。
須藤班 須藤 健悟/名古屋大学・教授
国際シンポジウムPCF2024を開催しました
2024年10月28-31日の日程で、岐阜県長良国際会議場にて「植物フェノロジーとBVOCによる気候フィードバックに関する国際シンポジウム」を開催しました。本シンポジウムは、当領域「植物・気候フィードバック」で初の国際イヴェントです。招待講演には、植物学・生態学から気候モデリングまで、幅広い分野の第一線の研究者の方々を国内外から(海外から6名)お呼びし、幅広い、かつ深い議論が展開されました。33件のポスター発表(うち、学生16件)に加え、”Short-talks”では、学生・院生(5名)も含めて8件の講演があり、分野・世代を跨いで、植物・陸域と気候との相互作用に関する有機的な交流が実現されました。
基調講演
James Blande (東フィンランド大)、塩尻(龍谷大)、および有村(東京理科大)からは、主にBVOCsをキーとした植物間コミュニケーションについての研究紹介があった。とくに、Blandeは、葉内に取り込まれた大気汚染由来のオゾンがBVOCsとの反応により処理される可能性を指摘し、有村は植物間相互作用の見地からミントなどの植物との近接や、またその代用としてエッセンシャルオイルの使用により抗食害性の向上が期待できることを実験的に示した。また、Erb Matthias (ベルン大)は草食により誘発される揮発性成分に対してどのように葉が応答するか遺伝子的要素・プロセスの研究を紹介した。Gang Wang(シーサンパンナ熱帯植物園)からは、とくにスズメバチを中心として昆虫と植物との相互作用と共多様化に関する包括的な議論があり、Ian Pearse(米国地質調査所)は北米のブナ科樹木(どんぐり)の豊凶サイクル(マスティング)が4月の気温に強い相関を示すなど、気象変数との関連性からマスティングのメカニズム解明に迫る研究結果を提供した。佐竹(九州大)は、イソプレン・テルペンを対象とした代謝経路についての研究を紹介し、季節変動成分と群間の違いや環境要因が放出量に与える影響を議論した。Maria Martin (シェフィールド大)、Sara Blichner (ストックホルム大)、および須藤(名大)は地球システムモデル(気候モデル)を用いたBVOCs研究の紹介があった。Martinは、二酸化炭素除去(CDR)による通常の温暖化対策において、BVOCやSOAの変動を加味すると大気質や温暖化抑制の観点で副作用が生じることを指摘し、BlichnerはとくにBVOCからのSOA生成やCCNへの寄与がモデル設定により大きく変化することを示し、オゾン科学への影響も議論した。須藤は、BVOCsのホルムアルデヒド(HCHO)を代理指標とした検証や、CMIP6での地球システムモデルにおけるBVOCsの時空間変動を要因ごとに整理し、過去におけるイソプレン変動が過去の気候変動に重要な役割を及ぼす可能性を指摘した。
長良国際会議場での集合写真
基調講演者と交流の一こま
白川郷にて(最終日エクスカージョン)
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